鍼灸学生におススメの鍼灸本4冊

鍼灸師・鍼灸学生
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学生時代に一読をおススメする鍼灸書籍

鍼灸学校に入学した時の年齢・キャリア・目的など、みなさん千差万別かと思います。
それぞれに合わせての「おススメ本」が存在するはずです。
とは言え、ここでは「伝統的な鍼灸(経絡・積聚・中医など)」を志していて「今まで東洋医学になじみがなく」「でもそういう世界観には関心がある人」向けに書いてみます。

おススメ本には、経験も知識もない鍼灸学生さんには以下の3点が大事と思われます。

1)まず大事なのは、読みやすいこと。
読んでいて楽しいのが良いですよね。
小難しい理論や教科書調の書き方では挫折してしまいます。
ただしこれはイラストが多いとか、字が大きいとか、そういう意味ではありません。
勉強としてだけでなく、読み物としても面白く書いてあるという意味です。
書き手のチカラですね。

2)次に、鍼灸が活躍する話が良いですね。
「〇〇〇に施術したら□□□な人がびっくりするくらい治っちゃった」みたいな話が多いと、鍼灸の可能性を感じさせてくれてGoodです。
施術方法や理論だけでなく、その施術をする「人」にもフォーカスが当たっている内容の方が読んでいて心地良い(=読みやすい)です。
達人の逸話とか武勇伝とか名言とか、そういうやつですね。

3)学校と臨床をつなぐ内容、もしくはそれを感じさせる内容が良いです。
学校では「国家試験に受かるための勉強」がメインになってしまいます。
どうしても試験で丸をもらうための知識になりがちです。
試験のための知識と、実践で必要になる知恵は別です。
そのふたつをつなぐ内容が書かれている本はおススメです。

そんなポイントをおさえつつ、以下に4冊ご紹介します。

『鍼灸真髄』

『沢田流聞書 鍼灸真髄』(代田文誌・医道の日本社)
これは文句なくイチ押しです。

澤田健先生という名鍼灸師の臨床を間近で見聞きした記録です。
(著者がのちの名鍼灸師・代田先生。)

この澤田先生というのは、とにかくキャラが濃いです。
たとえば、
初めて澤田先生の院を訪れた若き日の代田先生は、欄間に張ってあった「五臓之色体表」「十二原之表」を指さし「どうかご説明を」と頼みます。
すると、「これは鍼灸古道の極致だから、そんなに簡単に説明なんかできるか!!」とめちゃめちゃ叱られた、というエピソードでこの本は始まります。

イントロでグッと持っていかれますね(笑)

澤田流は「太極療法」とも呼ばれます。
お灸がメインの流派です。
内容は、どんな病気も全体の調子(五臓六腑)を整えることで回復が早まるとします。
このことから局所の病気だけにとらわれることなく、全体調整を目的とした施術をします。
主な基本穴は、百会穴、身柱穴、肝兪穴、脾兪穴、腎兪穴、次髎穴、澤田流京門(志室穴)、中脘穴、気海穴、曲池穴、左陽池、足三里穴、澤田流太谿(照海穴)、風池穴、天枢穴などです。

澤田先生は鍼灸大好きで、言い切りの程も半端ありません。
「(人間には自然治癒力があるのだから)薬なんか使うのは三流だ」などと平気で言ってのけます。
病の原因を「これは脾(が原因)です」「これは腎です」「これは肝です」などと判断し、鍼灸でどんどん難しい症状を改善させていくのも痛快です。

時々「ホントかよ~!?」と正直思います。
でも、鍼灸の可能性を広げてくれる内容に、思わず最後まで読み切ってしまうでしょう。

「鍼灸って凄いな」とは必ず感じるはずです。
鍼灸学生の頃にはそれで良いと思います。

この本は資格を取った後も時々読み返すと、そのたびに学びがあります。
最初は「鍼灸てスゲェな」だけだったのが、「自分の患者さんのケースでも使ってみよう」となったり、「この自信あふれる態度が効いてるんじゃないの!?」などと勘繰ったりできます。
お手元に一冊あると、とてもお得です。

『病気別・症状別 灸治療』

『深谷灸法による病気別症状別 灸治療~患者のからだに聞け~』(福島哲也・緑書房)

またお灸お本ですが、今度は深谷灸法です。
深谷灸を啓もうしている福島先生の本で、内容はノウハウ本です。

呼吸器の病にはこのツボ・胃腸の病にはこのツボ・皮膚病にはこのツボ・婦人科の病にはこのツボ…といったオーソドックスな感じ。
とても簡易的にエッセンスが書かれています。
各論では、症状や病名から経穴を選択しているので、まだまだ経験がない人には使い勝手が良い気がします。
でも、じつは各論よりも総論が面白いです。
「灸法基本10項」にもサラッと触れていますが金言です。

《深谷灸法基本十項》
1.経穴は効くものではなく効かすものである
2.成書の経穴部位は方角を示すのみ
3.経穴は移動する
4.名穴を駆使して効果を挙げよ
5.少穴で効果をあげるべきである
6.反応のない穴は効きめが少ない(効きめの出ないものは出すようにする)
7.そこが悪いからとそこへすえても効果はない
8.名穴であってもただそれだけに効くのではない
9.灸炷の大小壮数は患者の体質に合わせよ(熱くないところは熱くなるまですえる)
10.経穴は手際よく取穴せよ

鍼灸が対応できる範囲がとても広いことを感じ取れますし、なんならすぐに自分でも実践できる内容になっています。

『中医鍼灸、そこが知りたい』

『中医鍼灸、そこが知りたい』(金子朝彦・東洋学術出版社)

中医学に関心のある人にはお勧めです。
最近の鍼灸学校の東洋系の勉強内容は「中医学」のようです(教える先生にもよるのでしょうが…)。
現在使用されている教科書を見ていないのでわかりませんが、きっと「中医学入門」的な内容なのではないかと推察します。

中医学はたしかに理路整然としていて学習するにはもってこいです。
知識量が大事というか、覚えた分だけ理解が深まるように体系立っています。

ただし、それで実際の鍼灸ができるのか、というとまた別の話。
その辺の理論と実践の間をつなぐものがないと活かしきれません。
その「架け橋」になるのがこの本です。

現実にある症状や状態を、いかに中医学的に解釈するか、そしてその解釈をどのように鍼灸施術に落とし込んでいくか、のプロセスを解説してくれる内容になっています。
読み込むことで得るものも大きいのですが、金子先生の文体は少々難しいです。

鍼灸学生の頃にはよく分からないこともあるかもしれません。
でも中医学を志す人なら持っていて損はないでしょうし、他流派を学ばれる人にもおススメできます。

『針灸の歴史』

『針灸の歴史』(小曽戸洋・大修館書店)

そのまんま鍼灸の歴史の本です。

最初に書いておくと、鍼灸の歴史など知らなくても鍼灸師として十分に働いていくことはできます。

自分が今関わっている「鍼灸」という哲学・技法が、いかに始まって時間を積み重ねて来たのか。
その歴史を知る事で、とてもモチベーションを高まります。
鍼灸という技法に誇りが持てるようになります。

鍼灸には歴史と積み重ねられた経験が分厚い硬い岩盤のように足元にあります。
自分が立つ場所が、しっかりとした地盤なのだと知ることはとても安心でき、誇れる事でしょう。

また学生さんだと実際に試験勉強に役立ちます。
古典や過去の偉人先生などの知識が深まりますので。

ただしこの本、教科書調です。
読んでいると眠くなる可能性があります(苦笑)
もっと面白く興味深く読ませる歴史本があれば、そちらをおススメしたいのですが、これしかないので我慢です。
眠りながらでもよいので、ゆっくり読み進めてみて欲しいです。

まとめ

鍼灸学生の内は、色々な流派や先生の考え方などを学ぶに良い時期です。
学会や勉強会に足を運んだり、治療院見学をしたり、したいものです。
(※ただ、学費稼ぐための仕事やらでなかなか時間が取れないんですがね…。)

そんななかで書籍もやはり有益なツールです。
鍼灸の良いところは、古い本だからといってその持つ価値が廃れないところです。
現代医学は解剖学でも病理学でも最新版が欲しいですよね。
逆に鍼灸の古典的名著は、やはり名著なんです、現役で。
一冊持っていれば、ず~っと価値があり続ける自己投資になります。
学生の時からさまざまな鍼灸本を読んでみてはいかがでしょうか。

プロフィール
この記事を書いた人
めしたけ

首都圏のベッドタウンで鍼灸院をやっています。
鍼灸師キャリアは約20年。
短期の繁盛(=成功)よりも、安定継続(=失敗しない)を目指しています。
3人の子育て中のシングルファーザーでもあります。
開業・経営・生活全般など、あれこれ書きます。

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