鍼灸院開業体験談5【閉院】

開業について
鍼灸院開業体験談1【開業へ】
私が鍼灸院を開業した実録物語。 開業に必要な手続きなどのハウトゥではなく、リアルな体験談。 まずは開業前の模様や脳内ストーリーからスタートです。
鍼灸院開業体験談2【物件選び】
鍼灸院が流行らないと「場所選びを間違えたのではないか!?」「あの院が繁盛しているのは場所が良いからではないか!?」という思いが頭をよぎります。 きっとよぎります(笑) 自分の物件選びと立地についての考えを書きました。
鍼灸院開業体験談3【開業費用】
鍼灸院開業の話その3。 開業はもっとも費用がかかる時。本当に極力無駄を省きたいものです。 実際に何にいくらかかったのかの内訳を書きます。 一日でも早く安定経営の軌道に乗るにはどうしたら良いのか、そんな話。
鍼灸院開業体験談4【売上実録】
鍼灸院開業後の売上実録。 うおっ!?何だこの数字は。 いま振り返っても暗黒の数字。怖い、怖い~! しかも、その後にそれが右肩上がりになるわけでもなく、少しは上がったものの低空飛行のままだったし…。

これまで「開業するぜ!」から「開業したぜ~!」という話を書いてきました。

次は「閉めるぜ~!」という話を書きます。
せ、切ない…(涙)

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旧鍼灸院の閉院

当時はとある県の地方都市に住んでいました。
なお、開業していたのはその市に隣接する「町」でした(人口4万程度)。

そんな町の片隅で開業して8年。
プライベートで大事件が起こっていました(この顛末はまたいずれ)。
最終的には、その都合で引っ越すことになり、旧鍼灸院を閉めることに

まぁ当時は家事育児などプライベートが忙しく、仕事もきっちりやりたい気持ち半分と今はそれどころじゃない気持ち半分でしたね。
ちなみに、そういう仕事に向ける気持ちは不思議と売上にも反映されますよ(※余談ですが重要!)

当時は月商40万円程の売上に落ちていました(収入ベースでは20~30万円程度かな)。
潰れないけど低空飛行で、決して上向く気配はなかったです(苦笑)

さて、詳しく振り返ります。

閉院を決意したらまずすること

閉院を決めたのが閉める2ヵ月前くらい。
まずは不動産屋さんに退去の連絡をするのが最初です
退去の日取りを通告しないと円満に退去できません。

貸店舗には退去通知の期限が契約にうたわれています
旧院の賃貸契約では、退去連絡は「60日前まで」でした。
たいていは数か月も前なので、気持ちが固まって一番最初にするのが退去の連絡になります。
(現在の院の契約では3ヵ月前です。)

引越し業者

その後、引越し業者に連絡です。

今回一番の問題となったのは「鍼灸院の荷物」をどうするかでした
具体的にはベッドや書籍や家具などです。

当時は移転先を決めていたわけではありませんでした。

自宅の引越し先は実家だったのですが、実家には自分たちのプライベートの荷物を搬入します。
ただでさえモノが増えるのに、さらに鍼灸院の荷物などを置いておくような場所はありませんでした。

選択肢として、全部捨てるか、トランクルームを借りるか…
とりあえず方法がないかを引越し業者に問い合わせると「保管しておく方法がある」と教えてくれました

『荷物の一時預かりサービス』です。
搬出→(倉庫で一時保管)→搬入、という流れです。

これの良い点は、搬出と保管場所への移動、そして移転先での搬入が一体化している点です
引っ越し費用として「旧居からの搬出と新居への搬入」を支払います。
ただし、実際の荷物は搬出だけ行い、「倉庫で一旦留め置かれ(保管料は払います)」、その時が来たら搬入される、という手はずです。

なにせ10年くらい前なので記憶はあいまいですが、荷物は「ベッド2台と小型冷蔵庫、姿見、段ボール10箱」くらいの物量だったと思います。
最初に「数ヶ月保管して欲しい」と依頼したような…。
結局、3ヶ月くらい保管してもらいました。
保管料は、1ヶ月13,000円程でした

自力で保管場所を確保するよりも手間がかからず良い。
引越しはただでさえ色々やることが多いので、出来る限り手間がかからない方が良いでしょう。

一時保管サービス、覚えておいてください。

患者さんへの告知

閉院を患者さんに告知する必要があります。
これは早めが良いと考えます。
当院でも閉院を決めた段階(2ヶ月前)で、患者さんに通知をしました
方法は2つ使いました。

・ひとつは院内告知
いらした方に口頭で連絡していきました。
・もう一つが手紙で連絡
数年さかのぼって、患者さん宛てに「閉院のお知らせ」を送りました。

「閉院のお知らせ」をどういった内容にするかは各自で考えて良いでしょう。
私はわりと正直に「プライベートでの事情で引っ越すことになり、閉院になります」と書きました(※「事情」も簡単に書きました)

紹介先の選定

これより事前に、患者さんのその後の事も考えて「紹介先」を探しました
信頼できる近所の鍼灸院さんに事情を話し「紹介するからよろしくね」と伝えておきました。

特定の症状の人にはその症状に特化している院さんを紹介もしました。

もちろんそれら紹介先の鍼灸師と私は、治療スタイルや治療費などが違います。
人間性も違います。
ですので、患者さんには「あくまで、鍼灸を継続されたい場合で、どこに行ったらいいか分からない場合の最初の選択肢と考えてください。」「結局はご自身とそこの鍼灸師との相性です。もし行ってみて違うと感じたら遠慮なく止めてくださって結構です」とお伝えしました

保健所への手配

店舗を構えているので「施術所開設届」を開業時に出しています

鍼灸院と保健所の繋がりは「施術所開設届」(か「出張業務開始届」)です。
全てはコレとのかかわりだ、と覚えておけばあとは応用です。

内容に変更が出たら「変更届」を出す
(用紙の正式名称は「施術所開設届出事項中一部変更届」)
変更後10日以内に提出しなければいけない。
遅れると(程度によって)怒られたうえに「遅れた理由書」を一筆書かされます(マジです)。

今回のように、開設していたものをやめるのなら「廃止届」を出します
(用紙の正式名称は「施術所の(休止・廃止・再開)届」

…という訳で「施術所の(休止・廃止・再開)届」を提出しました。
「廃止の理由」欄は「転居のため」としました。
(※こういうのを書かせるのはお役所仕事だよなぁ…)

ちなみに「おまけ情報」。
店舗を移転して続けざまに新規開店する場合の手続き。
旧院は「廃止届」で閉め、新規院で「開設届」を提出します。
院長や院の名称や電話番号が同じでも、です。

税務署への手配

個人事業主ですので税務署関係にも手配が要ります

私の場合引っ越し後は一時的に無収入になりました。
…が、閉院までは事業収入がありますし、売り掛けになっている「保険治療収入」が少しだけでしたが遅れて入ってきますので、その年度も青色での確定申告をしました。
ですので、個人事業主であることには変更ありません。

ただ引越しにより、管轄の税務署(納税地)がかわるので届け出が必要でした
「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」です
おカネ関係ですので、面倒ですがぜひこの辺も抜かりなくやりたいですね。

たとえば次の年、どこかの会社に入って給与所得のみになれば、個人事業主自体の廃止をしなければいけません。
私の場合は、翌年に改めて開業しましたので引き続き個人事業主のまま継続でした。

ちなみに、都道府県や市町村にも税金関係で住所変更の届け出が必要だったかもしれません。
…が、覚えていません!(すみません。)

詳しくは税務署に問い合わせると詳しく教えてくれます(笑)

退去あと

以上のようなことを一つ一つクリアしていき、退去を迎えます。
新規患者さんをとらなくなるので、最後の頃は患者さんも減ってきますが、気持ちも引越しに向かっていますので、慌ただしいことこの上なかったです(同時に自宅も引っ越しでしたからね)

引越しでは、エアコンなども取り外して処分してもらいました。
スッキリした店舗で、お灸でずいぶんと黄ばんでいたのを、家具が取り除かれて違いがあらわになり知りました。
またその他、バックヤードなど放置していたがゆえに汚れていた場所があったり、と時間と埃が積み重なっていることを知るのでした…。

その後、大家さんの検分を受け、敷金のことを確認しました
・店舗のクリーニング代を「大家と折半」すること。
・その費用を敷金から相殺すること。
・残った残金を振り込むこと。

結局24万円の敷金の半分くらいが戻ってきた(と記憶しています)

まとめ

私はプライベート理由での閉院でした。
それでも閉院の作業は「負け戦」のような感がありました
経営不振での閉院なら余計にその感も強かったでしょう。
寂しかったし、不本意感がありました。
新規移転でない限りは敗北感はぬぐえませんね。

ただ同時に、なじみの患者さんとの別れを通じて「この仕事をやってきてよかった」と大いに再確認させられました
温かい言葉をかけてくれる患者さんや別れを惜しんでくれる患者さんたちの言葉が、どれほど嬉しかったか分かりません。
普段の毎日では見過ごしてしまいがちですが、鍼灸師と患者さんが交わしているのは何も「施術と金銭」だけではないのです。
その根底にあるのは「気もちの交流」だったのです
それを一時的に失うことになって、初めて気づいた次第でした。

この経験が、転居後に再び鍼灸院を立ち上げる大きなパワーになりました
仕事的には意図しない閉院でしたが、結果的に次につながる大きな財産を最後の最後にまたもらったことになりました。

ホント、患者さんからは頂くものばかりです。

プロフィール
この記事を書いた人
めしたけ

首都圏のベッドタウンで鍼灸院をやっています。
鍼灸師キャリアは約20年。
短期の繁盛(=成功)よりも、安定継続(=失敗しない)を目指しています。
3人の子育て中のシングルファーザーでもあります。
開業・経営・生活全般など、あれこれ書きます。

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鍼灸院経営とひとり親生活のハナシ

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