鍼灸院を法人化してみた話

鍼灸院経営
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鍼灸院を法人化した徒然体験談

法人になりたいですか?

開業鍼灸師の多くは普通はそのままずーっと個人事業主のままでかまわないと考えます。
・・・が、売上が上がったり、人を雇う検討をするなかで「法人化したいな~」と心が疼く時がきます

今回は、そんな疼いた私が法人化を実践した体験談を書きます。

法人化を知る

開業体験談にも書きましたが、ながらく細々と鍼灸院を運営してきましたので、法人化などまったく無縁な世界で考えたこともありませんでした。
(※正確に言えば、介護事業を考えた際にちょっと関心を持ちましたが、結局先立つものもなかったしうやむやになっていました。)

法人化を考えたのは、年商1000万を超えた次の年だったでしょうか
前年に払った所得税の額にびっくりして、なおかつ予定納税というよく分からない前払い的納税を強いられ、しかも2年後には消費税もかかってくることに。
生まれては初めて「節税」というセレブリティな事象に遭遇したわけです。
そんなこんなを調べていたら「法人成り」という言葉に出会いました。

「法人成り」とは、ようは「ひとり個人事業主から、会社設立してひとり社長になる」ってことですね。

鍼灸院の院長が社長になって意味あんの?
確かにそのとおりで、会社にしていいことあるのかよ?と軽く調べても、すぐにいろいろなメリット・デメリットがあることがわかりました。

法人化のメリット

・法人化後の2年間程度は消費税を納めなくてよい
・法人の方が税率が低い
・家族に給与を出すことで税的恩恵を受けやすい
・自分が給与所得控除を受けられる
・子供へバトンタッチ(事業承継)しやすくなる
・金融機関や取引先からの信用が高まる

ズラズラっと書きましたが、重要なのは「税金が安くなる」ってこと
とくに消費税を2年間先延ばしできるのは大きいな、とそのときは感じました
ひとり鍼灸院では、信用度なんか関係ないし、事業継承なんか考えてないし、メリットは「節税」一択ですね。

法人化のデメリット

じゃあすぐに法人成りじゃん、とはいきません。
デメリットもあるんです。

・設立時に費用がかかる
・決算の手続き(申告書の作成)が煩雑となり事務作業が増える
・所得が低いと、税負担が個人事業主よりも重くなることがある
・赤字でも法人住民税(7万円)はとられる
・社会保険(健康保険+厚生年金)に強制的に加入する必要がある
・一定期間ごとに役員の改選手続きが必要になる(株式会社の場合)

ここもやはり「おカネ」の話ですね。
費用負担が増加するのは「設立時の費用」「税理士費用」「社会保険(厚生年金)」「赤字の際の毎年7万円」です

結局こうした

法人成りのタイミングは、年商1000万を超えたとき、もしくは、年商から経費(家賃・治療道具代・光熱費・宣伝広告費など)を引いて500万円を超えた時期、らしい
(※法人成りののタイミングに関しては諸説あり(笑))
なので自分のタイミング的には間違っていませんでした。

しかしメリットデメリットが均衡しているんですよね。

・確かに最初の2年間は消費税の先延ばしができるのでお得。
・給与所得者になるのは税金的にお得。
・ただし、決算のためにも税理士が必須なので費用かかる。
・社会保険料がかなり高額。
・今後もずっとこの売上が続くかは未知数で不安。

まぁ「本当にお得なのか?」が結局のところ不確かです
結果、いろいろなシュミレーションをして以下の結論になりました。

損得がトントンなら、面白そうだからやってみよう
社会保険料はキツイが、将来もらえる年金の上乗せになるからよしとした。
・健保には傷病手当があるのでリスクヘッジになりそうだ。

株式会社か合同会社か?

法人の種類は、株式会社か合同会社かの二択です
株式会社のデメリットは「設立費用が高い(25万円くらい)」「10年ごとに役員を登記しなければならない」「決算公示しなきゃいかん」です。
合同会社のデメリットは「認知が低い」くらいです。

会社名で活動することはほとんどないのが鍼灸院です(院名が一番大事)。
ガンガン法人を大きくするつもりなら別ですが、ひとり鍼灸院なら株式会社が有利なことはありません。

ですので、うちでは「合同会社」を選択です(名より実)
費用は10万~15万円程度でした。

法人設立は自分でもできるようですが何せ忙しく、専門家に任せました。
税理士さん経由で司法書士さんがやってくれたのだった、かな(記憶があいまいです)。
任せちゃえば簡単です。

最初の手続きの変更が面倒くさい

ちなみに、法人設立の届けと同時に、個人事業の方は廃業します。青色申告も廃止です。
個人事業の廃止手続きに関しては、司法書士さんがきっちり出来上がった書類を用意してくれますので、指示通り提出しに行けば良いだけです。

その前に、法人になるために、実印・銀行印・角印をつくります
ようするに法人化とは、「私個人」から「法人」という別の人格(?)を新設することです。

書類だけで存在する「法人格」は書類がうるさいです。
印鑑証明や登記関係など、法務局には何度か必ずいきます。

別人格である法人に、鍼灸院関係のものを移行していくわけです。
貸し店舗を契約するのも法人、家賃を払うのも法人、治療費をもらうのも法人、光熱費を払うのも法人です。
そしてそこから「私個人」は報酬をいただく形になるのです。

おカネの動きや手続きはかなり面倒くさいです。
・・・ので、税理士に一任。
おカネの流れはプロに任せます。
その後の普段の会計も税理士に任せないと、決算関係がまわりません。

あとは、法人の銀行口座を作ったりと、せっせと「法人格」づくりを自分がします
法人の口座を作るのもちょっとした審査があったり、と個人と勝手も違います。
給与計算もしなくてはいけませんね、自分に払うために
また、社会保険(健康保険+厚生年金)の手続きもしなきゃいけません
年金事務所からの書類やらなにやらと、個人で最小限でやっていた頃よりも雑務が増えます。

仕事関係の形式上の主たる存在が、自分個人から法人になるって、一人二役みたいなへんな感覚です。

まとめ

法人設立からはや数年。
軌道に乗れば、日常的には個人の頃と比べて大きな大変さはありません
つまり、さほど恩恵を受けている感はありません(笑)

ただし雑務は完全に増えます
毎月の給与計算・毎年の年金などの継続手続き、など。

また、税務も個人事業主の時より複雑化しますので、税理士(プロ)に任せる分、費用がかさみます
税理士費用も、法人より個人事業主のほうが割安です。

税金は減ったのかもしれませんが、社会保険料は半端ないです
毎月10~20万円かかります(役員報酬額による)。
額自体は事前から分かっていましたが、負担の重さをリアルに体験すると、従業員を社会保険にいれない世の零細社長の気持ちも分かります(苦笑)

事務負担増加と保険料増加など合わせて物心で「増えた分」と、節税などで「減った分」を差し引きすると、おそらく「大したプラスにはならない」です。
5年単位で見れば「大変さが勝っている」気がします

ですので、よほど売上が高い(年商2000万円)とかで、家族も一緒に働いている(奥さんと共同でやっているなど)があり、しかもそれが今後もずっと継続しそうな仕組みになっているなら、法人化もありかもしれません
(あとは組織を大きくする野望がある場合も法人化がおススメです。)
・・・が、そうでもないなら個人事業主のまま、がベターかもしれません。
法人化にさほど興味がないなら、個人のまま所得税や事業税などはそれなりに払うと思いますが、払うものだけ払って作業は増えず、がベターです

私自身は、もう少しこのまま法人のままでいきます。
いろいろと手続きをしちゃったので、また元に戻すのも面倒なので…(苦笑)
(ちなみに、法人から個人事業主へ戻るのは「個人成り」と言います。)

私が、この体験から得たものとしては、「法人を設立したという経験」ですかね。
経験というみえない資産が一番の財産でしょうか。
実際的な旨味(おそらく若干は節税になっているでしょうし、健康保険の(国保より)手厚い保障への安心感はあります)は、現実的にはさほど大きくはなかったです。

さいごに。
どうでもいい話ですが、合同会社のトップは代表取締役社長ではなく「代表社員」って言うんですよね。
ちょっとダサい(苦笑)
私のように「法人化を体験してみたい」「社長になってみたい」人はぜひ法人化の挑戦してみてください。
実利はないですが社会の在り様を学べます。
社長さんを目指すなら「株式会社」が響きがいいですよね。
「代表取締役社長」なら20~25万円でございます。

プロフィール
この記事を書いた人
めしたけ

首都圏のベッドタウンで鍼灸院をやっています。
鍼灸師キャリアは約20年。
短期の繁盛(=成功)よりも、安定継続(=失敗しない)を目指しています。
3人の子育て中のシングルファーザーでもあります。
開業・経営・生活全般など、あれこれ書きます。

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