療養費の受領委任制度について|鍼灸の保険1

鍼灸師・鍼灸学生
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鍼灸保険(療養費)の仕組み

鍼灸の保険は正確には「療養費」と言います
なぜ療養費というくくりなのかや療養費の本来の定義など詳細はありますが、ここでは鍼灸の療養費とは「病院の保険と同じようなもの」だと考えていただければ結構です。

ただ、病院の保険と違うことがあります。
それがおカネの支払われ方と金額です。

治療費の額は固定

鍼灸の療養費は「施術1回いくら」と決まっています。

現在(2019年10月1日以降)は、鍼灸併用で1回施術が1,590円です。
病院では、治療の際に「検査で5000円、注射で5000円、診察で3000円で合計13000円」などのように、内容によって毎回治療費が違います。
しかし鍼灸の場合は「1時間かけて100本の鍼をしても、10分かけて1本の鍼しかしなくても、どちらでも1,590円」です。
それより少なくもならないし、それより多くもなりません。
これが病院の保険と違うところです。

なので、保険が3割負担の患者さんなら477円が1回あたりの患者さんの払う額になります。

おカネの支払われの原則~償還払い

療養費は「治療費を一旦全額患者さんが鍼灸院に支払い、のちに申請をして返してもらう」という仕組みです。

たとえば、治療費は1590円かかります。

通常の病院保険であれば、患者さん負担は477円(3割負担の場合)で1,113円は最初から払わなくていいです。
のちに病院の方が、患者さんが所属している保険者(国民健康保険なら市町村)に請求して、1,113円病院に振り込んでもらっています。
病院としては、かかった治療費1590円を、患者さんから477円・保険者から1,113円もらえています。

一方鍼灸保険では、1590円を患者さんが一旦全額を鍼灸院に払います。
患者さんは1,113円多く支払っているので、のちにそれを自分の所属する保険者に返してもらう申請をし、返してもらいます。
ですので、最終的には鍼灸院は1590円得て、患者さんは477円負担、保険者1113円負担、と病院保険と同じになります。

こういう支払われ方を「償還払い」と言います。
これが療養費制度の基本のパターンです。

今までのメインの仕組み~代理受領

ただし、このような払われ方だと患者さんは面倒です。
病院だと最初から自己負担分だけでいいのに、鍼灸院では一旦全額で払い・そののち自分で申請して、ようやくおカネが戻ってくるのですから…。

「鍼灸院でも病院と同じようにできないの!?」という声が出てきます。
それに応えていたのが「代理受領」という仕組みです。

これは「患者さんが“代金の請求を鍼灸院に代理委任したよ”という署名捺印を申請書にして、それをもって鍼灸院が保険者に請求できるようにする」やり方です
患者さんは、自己負担分の治療費(477円)と代理委任の署名捺印をすれば完了となります。
これは、療養費の本来の方法ではないものの、民法上の代理委任のやり方を取り入れたわけです。
これにより、患者さんには「病院と同じおカネの流れ」を提供できるようになりました。

療養費の95%が「代理受領」で行われていたという報告もあります。

ただし代理受領は、本来的な方法ではないということと、不正がチェックできないというデメリットがありました。
とくに不正受給が昨今とても問題視されています。

たとえば、「白紙」のレセプト用紙に署名捺印をもらってしまえば「あとは鍼灸院が勝手に通院日数を書くことができる」わけです。
患者さんは、ある月に5回しか通院していないのに、鍼灸院側が10回きたように書類を作れば「5回分(1,113円×5回分=5,565円)を不正受給」できるわけです。
誰にもチェックされずに…。

さすがにこれではまずいと言うことで「受領委任」制度が導入されることになりました。
今がちょうどそのスタートの段階です。

最新の制度~受領委任

「受領委任」は、先ほどの代理受領と流れは同じなのですが、以下の4点が違います。

・登録された施術者だけが保険請求できる
・レセプトを審査する団体を通して請求する
・制度の監督に地方厚生局があたる
・制度に参加している保険者だけに「代理受領」が行え、それ以外は「償還払い」となる

受領委任制度の基本が「不正請求対策」なのでしょう。
だから、施術者を登録して明確化し、レセプトをしっかり吟味して、必要があれば注意監督できる権限を行政が持つ、ということですね。

まとめ

2019年1月より受領委任制度は開始されています
ただし、まだまだ制度の最終形態まで煮詰まっていないようで、流動的でもあります。
また、受領委任を取り入れない保険者(健康保険組合に多い)も少なくなく、この辺もどうかと感じます。

参考:受領委任制度に参加している保険者

まぁ、受領委任制度を導入している保険者に保険請求するなら「受領委任」を使わない手はありません。
まずは自分(鍼灸師)が「施術管理者」として登録手続きしましょう。
そののちに、受領委任制度が使えます。

まだまだ過渡期ですので、制度の使い勝手も含めウォッチしていく必要がありそうですね。

参考:関東信越厚生局(受領委任に関連全般)

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療養費の施術管理者になるには|鍼灸の保険2
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プロフィール
この記事を書いた人
めしたけ

首都圏のベッドタウンで鍼灸院をやっています。
鍼灸師キャリアは約20年。
短期の繁盛(=成功)よりも、安定継続(=失敗しない)を目指しています。
3人の子育て中のシングルファーザーでもあります。
開業・経営・生活全般など、あれこれ書きます。

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